
上院議員の娘がバファロービルの手に落ちたことは、瞬く間にFBI行動科学課に知れ渡り、新聞は憶測を交えた記事を乱発し、テレビは一日中その事件をがなり立てた。
クラリスのもとに、クロフォードから電話が入る。あのラスペールの倉庫にあった生首の口から蛾の繭が発見されたのだ。バッファロービルの被害者からと、レクターの示唆した
生首との両方から蛾の繭が発見され、二つの事件は微妙な線でつながった。
ジェイム・ガムはシャワーを浴びながら、鼻歌を歌っていた。シャワーから出ると、愛犬のプードルを抱き上げ尻にキスをする。冷凍食品のディナーを食べ終えると、自分と犬の
残飯を手にして、地下に降りて行く。地下室には水の涸れた井戸があった。その井戸の中に残飯を投げ入れる。そのとき、井戸の中から「おねがい」というキャザリンの叫び声が
聞こえた。クラリスは二度レクターのもとへ行く。一度は上院議員は娘を助けるためにレクターが協力してくれれば、今より環境のいい場所に移すという、交換条件をレクターに
伝えた。レクターは不服をもらしバッファロービルの心理状態から推測し、なぜキャザリンを誘拐したかその理由を言った。「彼は乳房のついたチョッキがほしいのだ」
二度目には、もっといい交換条件の提示した。レクターは、バッファロービルの人間像を語り、彼は性転換願望者だという。レクターの鋭い想像力と観察力により、性転換手術を
前科があるために拒否された人物で、強盗を働いたもの・暴力に関する重度の異常行動のあったもの・少年院に入ったもの・白人男性・年齢は35歳以下・身体が大きい人間と
並べた。そのかわりにクラリスの過去をレクターに話すことも強要する。
レクターはジェイム・ガムを知っていた。ラスペールから聞いていたのだ。レクターの恐るべき記憶力は、元患者のラスペールの言葉を一言一句記憶していた。
ラスペールは本当のホモで生首の男、クラウスと過ごしていた。そこに転がり込んできたのがジェイム・ガムだったのだ。しかし彼は本当のホモではない。
悪戯に刑務所で覚えただけにすぎなかった。彼は激しやすく12歳の頃に祖父母を殺害している。ビーチハウスにいるときに、彼はクラウスを殺し、首を切り冷蔵庫に入れていた。
そしてクラウスの皮膚でエプロンを作り、ラスペールのご機嫌を伺っていたのだ。いまや、レクターはいつ、どうやってジェイム・ガムをクラリスに引き合わせようかと楽しんでいた。
レクターはチルトン博士に呼び出され、博士はクラリスが持ってきた条件は嘘だと言い出した。レクターから情報を聞き出したらクロフォードは起訴することになっているという。
チルトン博士は盗聴マイクでクラリスとのやりとりを全て聞き、上院議員にも確認した。そして、改めて上院議員とチルトン博士の間で話し合いが行われ、レクターの
言動・情報・資料に関しては全てチルトン博士が扱う約束が出来上がっていた。要は、クラリスとクロフォードは、事件とレクターにまつわることに関して蚊帳の外に置かれて
しまったのだ。レクターは言う「彼のファーストネームはビリイだ。あとは上院議員に直接話す」。
クラリスとクロフォードはその事実を知ると、クラリスは怒り、クロフォードは冷静に対処しようとした。地道に性転換手術で断られた男を捜している。
レクターは手押し車に乗せられて分厚い帯紐で縛られ、アイスホッケーのマスクをしている。テネシー州警察に引き渡され、飛行機で運ばれようとしていた。
レクターの長い間係りだった、バーニィはレクター博士にお別れを言った。
レクターを乗せたグラマンガルフストリーム機はメンフィスに着陸し州空軍の格納庫で止まった。ここで上院議員と会うのだ。お膳立てはチルトン博士が立てた。
レクターは上院議員に「犯人はラスペールの家に滞在していた。名前はビリィ・ルービンだ」と話した。
ジェイム・ガムは地下室で赤外線ゴグルをかけ、緑に映るキャザリンの肌を見ていた。これまでの経験で、皮を剥ぐのには4日から1週間待たなければならないことを知っていた。
痩せさせると生皮が少しだぶついて、剥ぎやすくなるのだ。もうすぐだと呟く。
クラリスはメンフィスのレクターが拘禁されている、ゴシック様式の建物に入っていった。最上階の古めかしい八角形の部屋でレクター博士は寛いでいた。
背を向けながらレクターは言った「おはよう、クラリス」クラリスは、前のレクターの係り、バーニィから受け取ったレクターの私物を渡した。この会見で再び、クラリスの過去を
レクターは聞くクラリスの悲しい過去は幼い頃に子羊を食肉用にするため、殺す場面を度々目撃し、今でもそのときの鳴き声で目覚めるときがあったのだ。
この事件の解決とともに、その夢は見なくなるかもしれないと考えていた。レクターはクラリスに資料を返すために手を伸ばした。
クラリスが受け取るときにほん一瞬の人差し指同士が触れ合う。クラリスの見た最後のレクターだった。
クラリスが帰ったあと、レクターは一年近く前からこのような日のためにボールペンのパーツやクリップから手錠用の鍵を作り、それを口の中から出した。
監視の二人の警官が食事を持って近づいてきた。いつものように、レクターをまず鉄格子に手錠で繋げる。レクターはその一瞬をチャンスに変えた。難なく手錠を外し、
警官の警棒を奪って二人ともその警棒で殴り殺した。ロビーにいた警官たちは、階上で聞こえた38口径の拳銃の轟音を聞いた。:警官達は上に登っていく。
最上階には瀕死の警官と、既に死んでいる警官がいた。瀕死の警官は実はレクターで、警官の服を着用し、すでに殺した警官の顔の皮を剥ぎ自分の顔にかぶせていたのだ。
動転している警官たちは、そのレクターを仲間の警官だと信じ、最初に救急車の担架に乗せて病院に運ぼうとする。
一方、クラリスはレクターに渡された資料の記述を頼りに捜査を続行していた。そして、最初の被害者の勤め先から縫裁関係の被疑者を絞り込みジェイム・ガムにたどり着く。
クロフォードは、性転換手術で断られた線からジェイム・ガムを割り出す。そして、レクターが上院議員に言った「ビリィ・ルビン」とはチルトンにかけた人間の胆汁の中の色素の
化学式だと分かった。ビリルビンという糞の色彩の主要素だったのだ。上院議員とチルトン博士をたんにからかっていたのだった。
クラリスはガムの家の前に立つ。ベルを鳴らす。ジェイム・ガムが現れて、クラリスに事件の経過などを聞く。蛾が飛んでくる。
短いやりとりのあと、クラリスには目の前の男が犯人であると確信する。と、同時にジェイム・ガムも見破られたと思った。
クラリスは銃をガムに向けるが、ガムは電気のブレーカーを落とし部屋を真っ暗にする。遠くでキャザリンの叫び声が聞こえる。
ガムは赤外線ゴグルを装着し、あわてふためくクラリスを見て楽しんでいた。ガムは、銃の激鉄を起こす。その音に反応したクラリスは、音に向かって銃を発砲した。
ガムが死ぬ。
レクターは救急車の乗員を殺害し、自らメンフィス国際空港まで行きそこで救急車を乗り捨て、セントルイスのマーカスホテルに向かった。
そこで、優雅に滞在し、クラリスに手紙を書いた。「羊たちの鳴き声は止んだかね」と。その後、ハンニバル・レクターは消息を絶った。
この二つの作品は推理的な要素も多分に含まれていますが、記事の内容により全てを書いちゃってます。ご注意ください(笑)
二つの、幸せを絵に描いたような家族が別々の地域で猟奇殺人に巻き込まれ皆殺しにされた。
捜査の行き詰まりを感じていたFBI捜査官のジャック・クロフォードは、すでに退職して幸福な家庭を
築きつつあった若き元敏腕捜査官ウィル・グレアムに相談をもちかけ、この猟奇殺人事件の手助けを
要請する。ウィル・グレアムはかって精神異常殺人者ハンニバル・レクター博士を逮捕した捜査官だった。
ウィルはレクター博士が精神病院の医者だったころから助言を受け、いままでいく度も精神異常犯人の
検挙をしていた。実は、クロフォードはそれを狙っていたのだ。ウィルを使えば再びレクターと接触し、レクター
の助言により見えない犯人像が具体化してくることを望んでいたのだった。
ウィルは捜査を進めるために殺人現場の家へ自ら入り検証もする。
一方、ゲイトウェイフィルムラボラトリーの現像主任フランシス・ダラハイドは、虎視眈々と次の獲物を
選んでいた。会社には米国中からホーム映画(8o)の現像依頼が集まり、幸せそうな家庭選びには
事欠かない。体格のいいダラハイドは寡黙な男だった。ウィリアム・ブレイクの詩と絵画を崇拝している。
絵は特に「大いなる赤き竜と日をまとう女」がお気に入りだった。自らの背中にその絵の刺青をしている
くらいだ。自分はいつか変身して神になる者と信じている。悲惨な少年時代を送ったダラハイドは人見知りが
激しく、歪んだ精神の持ち主で、偉大だと感じているレクター博士を超えることも望んでいた。
ウィルはやはり、精神異常犯罪者を収容しているチェサピーク病院でレクター博士と接触し、犯人像の助言を
求める。また、ウィルは自分が囮となり犯人に襲わせようと考えた。
三流新聞「ナショナル・タトラー」の記者フレディ・ラウンズ(実はウィルの天敵)を使い犯人の「噛みつき魔」を
わざと刺激するような記事を書かせて、ウィルを襲わせるというものだった。
しかし、結果的にはその記事を書いたフレディが無残な死に方をした。

あまりにも有名なトマス・ハリスの作品です。どちらの作品も訳者が巧いせいか、ストレスなく一気に読むことができます。
緻密なディティール、前後の計算された割り振り、読みやすい文体。どれをとっても一級品のエンターティメント作品です。
もちろん、映画も観ましたがこの小説の世界観には遠く及ばないでしょう。
小説好きには、ぜひとも読んでほしい作品のベストテンに入ることは間違いありません。
実は、ハンニバルライジングの映画封切りと聞き、このレクターシリーズを最初から再読しました。
最初に読んだときよりは、面白さが倍増したような気がします。
只今は「ハンニバル」を読んでいます。次回はそのハンニバルとトマス・ハリスの最新作「ハンニバル・ライジング」をお送りできたらと
思っておりまする。
ウィキペディアより

トマス・ハリス(Thomas Harris. 1940年〜)は、テネシー州ジャクソン生まれ。テキサス州ウェイコのベイラー大学卒業。
地方紙「ニューズ・トリビューン」の記者を経て、ニューヨークのAP通信社でレポーター兼編集者となり、この間に犯罪に関して貴重な洞察を得、
のちに最初の小説を書くきっかけになった。パレスチナゲリラによる、スーパーボール会場への飛行船によるテロという奇想天外なアイデアで、
1975年「ブラック・サンデー」を執筆、ベストセラーとなる。なお、同作品は映画化されたがパレスチナ問題という微妙な問題を扱っていたため、
日本では公開直前に中止となる。1988年、前作「レッド・ドラゴン」(1981年)に続くハンニバル・レクターを主人公とする小説「羊たちの沈黙」を
発表、映画化されアカデミー賞を受賞。映画配給会社のオライオン・ピクチャーズを倒産の危機から救った。1999年に発表した「ハンニバル」も
映画化され前作以上の興行収入を得た。さらに2005年、レクターの少年期を描いた「Behind the Mask」を出版し、2007年に「Hannibal Rising」
として映画化される。
大衆の前に姿を現すことがなく、非常に謎の多い人物。30年の作家生活で作品はこれら5作しかないという寡作な作家。
作品は全て映画化されている。大学時代に出会い結婚したハリエットとの間には一人娘のアンがいる。60年代に離婚。
レクターは、ダラハイドからすぐに処分できるように、トイレットペーパーに書かれた手紙を受け取る。それを見つけた部屋の掃除夫は院長のチルトン博士に報告し
すぐさま、FBIに通報された。科学的な分析の結果、レクターの返事はタトラーの個人広告に載せられることが分かった。タトラー誌にレクターの暗号の個人広告が出る。
長い間をかけて解読した文は、ウィル・グレアムの自宅住所と電話番号、そしてウィルを殺せとけしかけている文だった。
一方犯人であるダラハイドは目の見えない女性社員レバ・マクレーンとの恋に落ち、本来の目的である「変身」がなかなか進まずに悩んでいた。
二重人格でもあるダラハイドには赤き竜も現れる。その赤い竜は「レバ・マクレーンをいけにえにしろ」と言う。思い余ったダラハイドはある日ブルックリン美術館へ足を向けて
本物のウィリアム・ブレイクの水彩画「大いなる赤き竜と日をまとう女」の絵を食ってしまう。こうすれば、赤い竜は出てこないし赤い竜を従えると信じていたからだ。
ダラハイドは完全に異常を来たしていた。ブルックリン美術館からの帰りに、レバの家に寄るがそこで見たものはレバが同僚の男性社員(ラルフ・マンデー)と親しそうに
抱擁しているところだった。ダラハイドはレバが家に引っ込んだときを狙い、その男性社員を射殺する。そして再びレバの家の前に立ち、レバを自宅へと連れ去った。
一方クロフォードとウィルは何度も残された被害者たちのホーム映画を観て、犯人もその映画を観ていることに気付く。
例えばドアの内側の蝶番や家の間取りに合わせた進入方法をしていたことなどだ。二つの事件の共通点が浮かび上がった。現像した会社が同じだったのだ。
ウィルとクロフォードはゲイトウェイ社に急行し何百人もいる従業員リストから絞込みフランシス・ダラハイドを突き止める。ダラハイドの古びた洋館では、ダラハイドが懸命にレバに
説明するが、レバはダラハイドの言っていることを理解してくれない。この自宅に戻る前にはゲイトウェイ社でウィル・グレアムを見かけ、自分に迫ってきていることは分かっていた。
ダラハイドは悩み、ショットガンを掴む。レバに聞こえるように銃声が響く。人が倒れる音。レバはすぐそばに倒れた人を触り死んでいることを確認した。家には炎が経ち始めている。
ダラハイドは自分が彼女を殺す前に自ら命を絶ち、家に火を放って全て灰にしてしまおうと考えていた……ようにレバに思わせようとした。
警察車両が到着した頃は、庭をフラフラといているレバ、全焼一歩手前のダラハイドの家だった。
ジャック・クロフォードとウィル・グレアムはレバの証言もとれ、事件は終わったと考えた。しかし、レバは目が見えない。
二つの事件は急速に幕引きへと進み。ウィルはクロフォードとバイバイをし自宅へと戻った。自宅にて、愛妻のモリーと息子のウィリーと穏やかな時間を過ごしているときに
電話がかかる。燃えたダラハイドの家からは、ダラハイド自身の死体がなかったと。その黒こげの死体は行方不明者らしい男の死体でこの事件にはなんの関わりのないものだった。
ダラハイドはなんとしても、ウィルを殺したかった。住所もレクターから教えてもらっていた。目の前にウィルの自宅がある。
ダラハイドはなんのためらいもなく侵入し、ウィルに襲いかかった。ナイフでウィルの左胸を刺し、顔を傷つけていく。そのとき、モリーがあわてながらも銃でダラハイドを撃ち殺した。
病院に担ぎ込まれたウィルのもとへ、クロフォードがやってくる。真相をウィルに語って聞かせる。クロフォードはウィル宛に来たハンニバル・レクター博士からの手紙は渡さなかった。
Nextはまだないよん
FBI行動科学課の訓練生、クラリス・スターリングは課長のジャック・クロフォードから呼び出しを受けた。
クロフォードの仕事のひとつとして、未解決事件のデータベースを作る作業で、拘禁中の32人の中で頑として
協力しない人間が一人いた。その一人に会って面接してこいとのことだった。
その一人とはハンニバル・レクター博士だ。ボルティモア精神異常犯罪者用州立病院の院長のフレデリック・
チルトン博士と握手を交わしたクラリスは、レクターの監房の前に立つ。レクターは鼻であしらうようにクラリスと
面談するがのらりくらりと質問をはぐらかした。が、レクターは訓練生のクラリスを気にいったらしく、ヒントを与えた。
クラリスは早速、レクター博士が言ったラスペールの車の調査に没頭する。
ラスペールとは精神病の病院を開業していた頃のレクターの患者でボルティモアフィルハーモニックオーケストラの
フルーティストである。そのラスペールが借りていた倉庫を調査すると、研究用の標本瓶でアルコール漬けの生首を
発見した。クラリスは再びレクターの監房の前に立ち、その生首はホモのラスペールが殺した恋人だということが
分かる。しかしラスペールは何年も前にレクターに殺され、その臓器を調理してレクターの友人達に振舞っていたのだ。
そして、今クロフォードが抱えている連続殺人事件「バッファロービル」のヒントも言った。
「バッファロービルは二階建ての家を持っている」と。
クラリスはバッファロービルの新たな犠牲者の検死官としてクロフォードとともにウエストバージニア州に飛んだ。
死体は川から引き上げられた、体格のいい若い女性で頭皮の一部と胸から膝までがきれいに皮を剥ぎ取られていた。
丹念に調べると被害者の口の中から大きな蛾の繭が見つかる。クラリスは、クロフォードが渡りをつけてくれた
スミスソニアン国立自然史博物館に行った。昆虫のスペシャリスト達の答えは、その蛾はそこら中にいて、簡単に
飼育できるものだった。
その頃、キャザリン・ベーカー・マーティンが、ギプスで片腕しか使えない男が椅子をトラックの荷台に載せる作業を
手伝っていた。うまく荷台に積めこむと、男はキャサリンの頭をギプスで殴りつけ、キャザリンを連れ去った。
キャザリン・ベーカー・マーティンはテネシー州選出の連邦上院女性議員の娘だった。