ブルーノートの「クール ストラッティン」
31歳で夭折したソニー・クラークの名盤だ。
ジャズを聴く方なら、このアルバムを知らないはずはないというほど、
超有名なアルバムでもある。
たぶん普段ジャズを聴かない方でも、
一曲目のCool Struttin'は「あ〜、聴いたことがある!」と頷かれるだろう。

ピアノ、ベース、ドラムス、トランペット、アルトサックスの
クィンテット(五人組)の編成である。

1曲目のアルバムタイトルでもある、「COOL STRUTTIN'」はウォーキングテンポのブルース。
最初のけだるいテーマからクラークのソロへと続く。派手さはないがブルース感覚溢れるピアノである。
次にアート・ファーマーのトランペット。導入部分がクールだ。
続いて、マクリーン。自己主張がちと強いように感じる。しかし見事なマクリーン節が炸裂。
ベツレヘムの「レフト アローン」のソロにも勝るとも劣らない。で、再びクラークの控えめなアドリブが入り、
ポール・チェンバースの弓によるソロ、そしてラストテーマへと続く。
トータル感として安心して聴けるマイナーブルースである。

2曲目の「BLUE MINOR」もクラークのオリジナル。
テンポが若干速くなる。いかにも日本人ウケするテーマがいい。
地味であるが、しっかりとしたテクニックのクラークのソロが秀逸だ。
3曲目はマイルスの「SIPPIN' AT BELLS」
アップテンポの曲で、ファーマーとマクリーンのユニゾンで豪快に始まる。
チャーリー・パーカーのエッセンスが挿入されているような曲だ。
実際にマクリーンのソロフレーズにはパーカーのテクニックが
所々に見え隠れしている。
4曲目「DEEP NIGHT」と6曲目「LOVER」はジャズとしてはスタンダード的な曲で
クラーク、他の4人の個性が遺憾なく発揮されている。
5曲目の「ROYAL FLUSH」もクラークのオリジナル。
ミディアムテンポで力強いテーマだ。個人的にも好きな曲でもある。

Sonny Clark

このアルバムはブルーノートの初回プレスが3000枚にも満たなかったという。
米ダウンビート誌による評価も中の下という酷評……要は並以下で終わった。
日本でのヒットとなった原因は、
ソニー・クラークの控えめながらもしっかりとしたピアノテクニック、
けだるいブルース感覚、テーマ→各人ソロ→テーマという分かりやすさ、
哀愁を帯びた明確なブルースのメロディライン等が
日本人の感覚にマッチしたせいだろう。

いずれにしろ、私の頭の中では名盤……いや、ジャズというとこのアルバムが目に浮かぶ。
実際にレコード時代に2枚、そしてCDでも何枚か購入してしまった。

各演奏者は個人でそれぞれリーダーアルバムをリリースしてるほどの実力者達だ。
ジャズの職人が集まったようなこの「COOL STRUTTIN'」は
有名なルディ・バン・ギルダーの録音で1958年の作品。
半世紀近く経っても、色褪せない名盤である。
改めてじっくりと聴くもよし、ジャズ初心者の方が始めて購入するアルバムとしてもよし だ。

ちなみにタイトルの「COOL STRUTTIN'」とは、
「ツンとすまして、イソイソと歩く」という意味である。
で、このスリットのあるタイトスカートで忙しそうに歩いている
モノクロの粋なアルバムジャケットが出来たわけだが、
この足の主はアルバムデザイン担当者の女性アシスタントとのことだ。
ジャズ界では、一際有名になった足かもしれない(笑)

Paul Chambers

Philly Joe Jones

注・BGMはこのアルバムに含まれている曲ではありません。

Jackie McLean

Art Farmer